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新しい側弯症の手術方法

今日は新しい側弯症の手術方法のご紹介です。
これは世界で最も権威あるLancetという医学雑誌に掲載されたばかりの論文で発表された術式で、これまでの手術のマイナス点を改善する可能性がある方法として注目されています。
タイトルは
Magnetically controlled growing rods for severe spinal curvature in young children: a prospective case series.
著者は
Cheung KM, Cheung JP, Samartzis D, Mak KC, Wong YW, Cheung WY, Akbarnia BA, Luk KD.
です。
これまで小さなお子さんに側弯症の手術をする際、側弯の進行を止めるために背骨の固定が多くの場合必要でした。
この結果、側弯症の進行は抑えられたのですが、身長が伸びなくなってしまうので、整容上の問題だけでなく、肺の成長を著しく抑え込んでしまうため呼吸器機能の問題がありました。
そこで、今日ご紹介したの論文の著者の一人で私の恩人のひとりでもあるDr.Akbarniaは10年くらい前から、背中にインプラントを入れて、6カ月に1度小さな手術をしてレンチでインプラントを延長することで背骨の伸びと側弯のコントロールを両方安定させようという手術を行ってきました。
この手術はgrowing rodと呼ばれる術式で、私のサイトやブログでもご紹介した画期的な方法でしたが、合併症が多いことと、6カ月待っている間に骨が癒合してしまい、思ったほど背骨が伸びなかったり、側弯がコントロールできないのが悩みでした。
そこで今回かれらが行ったのは、インプラントの手術をした後に、6カ月に1度延長するのではなく、磁力を用いて体の外から磁石で毎日インプラントの中にあるねじのような部分を伸ばすことで、毎日自然に背骨を伸ばし、側弯もコントロールするというものです。
今回の論文では2年間2人の患者の経過を見て、成績はとてもよかったというもので、もちろんまだまだ検証しなければならないことはありますが、良い方法として大変期待されます。
Akbarnia先生は寝ても覚めても小さな子どもの側弯を治すにはどうすればよいのかを考えているようでした。
見習わねばと思います。いつか彼のように手術がうまいことや、正しい治療、診断をすることだけでなく、その分野の多くの患者さんや医師を助けることができるようになりたいと思います。
日本のモノづくりの精神は我々医師にもあると信じたいです。
ですが、日本の医療制度も、人々の考え方もこのような革新的なことにもう少し寛大になる必要があるでしょう。


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